胃ろう増設術のために入院していた母が、8月21日にやっと退院できました。
いざ胃ろうをすると決まってから、胃ろうのことをネットで色々調べたのですが、入院自体は10日から2週間程度、手術も20分程度ということだったので、母もそのくらいの入院ですむだろうと考えていました。
ところが、実際には退院まで39日もかかってしまったのです。
最初の医師からの説明は
ネットの情報で2週間程度で退院できると思っていた私、ところが、入院前の主治医曰く、「胃ろう手術前2週間、術後2週間、計4週間くらいでお盆前(8月10日)くらいには退院できるでしょう」とおっしゃるんです。
え?
2週間と思っていたのに、予想していた期間の2倍!
母の場合、体力が落ちていることもあり、手術前に鼻からの栄養注入で体力をつける必要があること、嚥下機能検査や、胃カメラなど事前の検査も余裕をもって行うことから、このくらいの期間が必要だそうです。
また、術後についても、胃ろうが体にしっかり定着し、使用する栄養剤が体内でしっかり吸収されることなど、諸々が全て正常に機能することをしっかり確認してから退院するため、ある程度の期間が必要とのこと。
そういわれるとそうかもしれないのですが、長くても2週間程度で退院できると思っていた私としては、正直ショックでした。
それでも、4週間で退院できると思っていたんです、この時点では・・・・
いざ、7月14日に入院
そして、7月14日に入院。
胃ろう手術前
手術前は鼻から栄養剤を注入するため、鼻に管が入りベッドに寝たきりの母、そんな母を見るのは、正直忍びない思いでした。
また、栄養状態が十分でないこともあるのか、蚊の泣くような声、というよりただ口から空気が出ているだけのような状態で、何を言っているのか聞き取れない。
何が言いたいのか理解してあげたいのに、それができないもどかしさ。
そんな状態が続き、7月18日に嚥下機能検査、さらに7月24日に胃カメラの検査を終えました。
実はこの時、「嚥下機能、胃カメラ(胃の内部)ともに異常なし」と理解していた私。
(ところが、嚥下機能検査に関しては全く逆で、嚥下機能がかなり衰えているということが、退院前の医師からの説明でわかったのでした)
そして手術
そして予定通り、入院から2週間後の7月27日に手術。
手術自体は15分程度で終わり、術後の医師の説明も、「順調に終わりました。胃ろうが順調に機能するかどうかなど2週間程度様子を見て、お盆前には退院できるでしょう」とのこと。
それを聞いて、「順調に機能しさえすれば、2週間後の8月10日(少なくともその頃)には退院できる!」と思っていたのですが・・・・
手術後
手術から数日後、面会に行った際「下痢が続いているため、栄養剤を変えている(2種類目)」との説明がありました。
さらに数日後、「もう一度栄養剤を変更した(3種類目)」とのことで、「下痢がよくなっていないのだな」と思いました。
なんだか嫌な予感・・・・
というのも、その3種類目の栄養剤に変えた週の半ばには、当初の退院予定の術後2週間目(8月10日)に到達します。
3種類目の栄養剤でもダメだったら、さらに入院が長引いてしまう・・・・・・
「いったい、どうなるんだろう・・・・」と不安に思っていた私は、面会に行くたびに下痢の状態などを看護師さんに確認していました。
そして術後2週間目の8月10日の2日後、8月12日に、「3種類目でも下痢が続いているため、2種類目の栄養剤に戻す」という電話が病院のソーシャルワーカーの方からありました。
(ソーシャルワーカーというのは地域連携室という部署の方で、ソーシャルワーカーから家族に、定期的にその時の患者の状態などが連絡されます)
「2種類目でも下痢だったから、3種類目にしたのでは?」と疑問に思った私は、その方に聞いてみたのですが、その方曰く「医師の判断と聞いており、それ以上のことは私ではわからない」というなんとも心もとない返事。
そこで、その後面会に行った際に看護師さんに詳しく聞いてみると、「実は、2種類目の栄養剤で下痢は改善していたが、その栄養剤は食品扱いで保険が利かないため、保険の利く3種類目の栄養剤(薬剤扱い)でも下痢がなければ、その方がよいだろうという配慮で3種類目に踏み切った」とのことでした。
私達のことを配慮してくれたようで、この説明で一応納得したのですが、結局、3種類目の栄養剤を試すことで、母の入院は長引くことになってしまいました。
8月16日、退院の説明
そんなこんなで入院が長引いたものの、2種類目の栄養剤で下痢も改善し、8月16日に主治医より退院に関する説明を受けることになりました。
そして、病院から主治医、看護師、ソーシャルワーカーの担当者、施設からはケアマネと看護師、私が参加し、医師から退院に関する説明を受けたのですが・・・・
口から食べられるのは?
この説明を受けるまで私は、母は入院前と同じように、プリンやゼリー、飲み物などは口から摂取できると思い込んでいました。
それで念のために、「どういうものなら口から食べてもよいか」主治医に聞いてみたら、なんと、「誤嚥性肺炎のリスクがあるため、口からの摂取は避ける方がよい」とおっしゃるんです。
え?
嚥下機能検査の結果は問題なかったのでは?
ところが、実はそう思っていたのは私の勘違いで、母の嚥下機能はかなり衰えていて、嚥下機能検査の際ヨーグルトを食べるのですが、自分でごくんと飲み込むのではなく、ほとんど重力にまかせて食道を落ちていってるだけの状態だったそうなんです。
私は嚥下機能検査に付き添い、その画像を見ていたのですが、気管の方に入らずに食道をスムーズに流れていっていて、医師の説明もその画像のままだったので、てっきり問題ないと全く疑っていませんでした。
(はっきり、嚥下機能が衰えていると説明してくれればよかったのに・・・・)
また実際に、入院中にも軽い誤嚥性肺炎の症状があったらしく(すぐに回復)、自分のつばを飲み込むだけでも誤嚥のリスクがあるということのようでした。
この説明を聞いて、心の中はもうガックリうなだれ状態・・・・
「退院したら、きっとゼリーやプリンなら食べられるはず。色々買って持って行こう」と思っていたのに、何も食べられないなんて・・・・・
正直、これは結構ショックでした。
施設の受け入れが・・・・
ショックではあったものの、退院の許可が出たので、私としては1日も早く退院させたかったのですが、今度は施設側の受け入れに問題が。
施設が利用している栄養剤の業者が17日まで休みだったため、業者の休暇明けに在庫確認し、在庫があったとして最短で配達してもらっても、母が使う栄養剤が少なくとも数日間は施設に届かないというのです。
また、施設自体も16日(水)までお盆休みなこと、その週末はスタッフの人数が少なくなるため、「万が一何かあった場合に対応ができないといけないので、受け入れは週明け8月21日(月)以降にしてほしい」とのこと。
施設の言うこともわからなくはないのですが、せっかく医師からは退院許可が出たのに、これでまた数日退院が延びてしまいます・・・・
施設のスタッフのローテーションは私にはどうしようもありませんが、栄養剤に関しては食品扱いなのでネットで購入できるとのこと。
即、ネット注文して施設宛に発送してもらいました。
そして退院の日程は、その時点で最短の8月21日に決定。
8月21日、ついに退院!
そして迎えた退院当日、8月21日。
看護師から、施設の担当者と一緒に退院に関する説明を聞きます。
それまでのパジャマ姿から、持って来た洋服に着がえさせてもらい、車椅子に乗って病室を出て来た母を見て、「ようやくこれで本当に退院できるんだぁ」という実感が湧いてきました。
それまでは、ずっとパジャマでベッドに寝たきり、何かしらの管がつながった姿でしたから。
それでも一番つらかったのは、母自身だと思います。
ずっと絶食状態、なぜ入院したのか、いつ退院できるのかもわからず、ほとんどベッドに寝たきり。
本当に不安だったと思います。
そんな状態でよくがんばってくれました。
身内びいき以外の何者でもありませんが、「さすが私の母!」
強い母もいつか・・・でも、それまで一緒に!
物心ついた頃から感じていたのですが、私の母は強い人です。
見た目や日々の言動は、どちらかというとおっとりしたタイプで天然ぽい一面もあって、とても世間で言われるような強い人には見えないのですが、本当は芯の強い人です。
口に出したことはありませんでしたが、看護師の仕事に誇りをもって一生懸命に働く母が、子どもの頃からずっと自慢でした。
私はどうあがいても、そんな母には永遠に勝てません。
そんな強い母もこれから少しずつ衰えて、いつかお別れの時がやって来ます。
ですが、誰にも訪れるお別れの時。
できなくなったこと、衰えてしまったことを嘆くのではなく、母にはまだまだできることがあります。
前進あるのみ!
一緒に歩いて行こう!