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愛すべき20代の頃の母へ

先日、叔母(母の妹)から、若い頃の母に関する興味深い話を聞きました。

今で言う成田離婚の危機?

父と結婚して新婚旅行に行ったときのこと、なんと、母は、新婚旅行の途中で父を置いてひとりで実家に帰って来たというのです!

母はそういう感情が先走るようなタイプではないので、すごくビックリしました。

そもそもうちの両親は、父親がいろんなことに細かくて口うるさいタイプ、母親は感情はあまり表に出さず、静かに構えているタイプ。

父方の伯母さん(父の姉)が、「自分の弟ながら、ほんと口うるさい。○○ちゃん(母の名前)はよく我慢してるわ」と母に言っていたのを覚えています(笑)。

なので、大体我が家は、父親がちょっとしたことであーだこーだわめいていても、母は「それがどうした?そんなことは大したことではないでしょ」といった図式で、とにかく母はいつも感情を表に出すことなく落ち着いている人でした。

意外な母の一面

私にとって母はそんな女性だったので、新婚旅行の途中で父を置いてひとりで実家に帰ったという彼女の感情的な行動はかなりの衝撃でした。

と言っても、ネガティブな衝撃ではなく、思わず応援したくなるようなポジティブな衝撃。

あんなに何事にも動じず感情が先走ることのない母が、新婚旅行で夫を置いて実家に帰るとは!

よっぽど頭に来た何かがあったに違いない!

ですが、いくら夫に腹を立てたとはいえ、今から60年以上前のこと、おそらく亭主関白な家庭が一般的だったのではないかと思われ、そんな過激な新妻はその頃ほとんどいなかったのではないでしょうか?

そんな時代にやっちまった母!

たぶん新婚旅行先でケンカか何かしたんでしょうなぁ。

で、「この人とはやっていけない!」とばかりに一人で実家に戻った母。

父を置いて、新婚旅行先の旅館から実家に戻る母の心情を想像すると、こう言っちゃなんですが、ちょっとかわいい。

いつも口うるさい父にずっと我慢してきた母も、若い頃は感情を爆発させるようなことがあったのだと思うと、思わず、「我が母親ながら、なかなかやるなぁ!」と、若かりし頃の母にエールを送りたくなりました。

で、その後どうなったか叔母に聞いたところ、父が実家に迎えに来て、(祖母がとりなしたのだと思うのですが)とりあえず元におさまったらしいです。

よかった、よかった(笑)

ですが、迎えに来た父の心情も想像すると、これまた思わずちょっと笑ってしまいます。

新婚旅行で新妻が実家に帰ってしまうなんて、義理の母親の手前、さぞかしばつが悪かったにちがいない。

フフフ・・・

孝行したいときには親はなし

彼らにもキラキラした恋愛時代があったのだなぁと思うと、なんだか少しくすぐったいような、微笑ましいような不思議な気持ちになります。

父親はもう亡くなってしまったし、母も認知症を患っているので、彼らの若かりし頃の話を聞くのはもう難しくなってしまいました。

親も一人の人間、子ども時代も青春時代も当然あったわけで、いろんな思い出があったはずなのに、もうそれを知ることはできないと思うと、ちょっと切ない感じ。

親が元気な頃はそんな話、聞く気もなかったのに、いなくなると聞いておきたかったなぁ、と今さらながら自分の都合ばかりです。

これって、よく言う「孝行したいときには親はなし」というのとちょっと似てますかね。

自分の知らない若かった頃の親はどんな時を過ごしてきたんだろうと思うと、なんだか不思議な気持ちになります。

もしドラえもんのタイムマシンに乗って、父と母の新婚旅行のケンカの現場(?)に行くことができたら、今の私よりずっと若い20代の母に、私はなんと言ってあげるんだろうなぁ・・・