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群ようこさんの「ぬるい生活」

群ようこさんの書く本が好きで、よく、図書館で借りて読んでます。

小説もエッセイも面白いのですが、今回読んでるのは、「ぬるい生活」というエッセイ本。

エッセイなので、それぞれの内容が小分けになっていて、ちょっとした空き時間にも読みやすいです。

その中で、つい笑ってしまったのが、「体重測定ダイエット」と「小太りのおやじ」の中のある件。

群ようこさんは、ご自身のことを中年世代とおっしゃっているのですが、確かに我々中年女性には、つい笑ってしまいつつも、わが身にもひしひしと身につまされるリアリティもあり。

私が、「あぁ、わかるぅ! そうなのよ、そうそう!」と思った件を引用させてもらいますね。

まずは、「体重測定ダイエット」の中から

”ところが、五十歳を目の前にして、本当に贅肉は引力に対して無抵抗になり、ここまで垂れるかと呆れるくらい垂れる。・・・・中略・・・・・かつては太くなっても尻はちゃんとあるべき場所にあった。しかし現在は、

「ありえないでしょ!」

と叱り付けたくなるくらいの位置まで下がっている。どうしてこれがわかったかというと、ここ一年、週に最低一度は着物を着ているので、帯の結び具合を見るため後ろ姿を点検しなければならず、それで尻のとんでもない落下に気がついたのだ。きっとウエストから

「おーい」

と呼んでも、尻には絶対聞こえないはずだ。”

はい、はい、この時のショックな気持ち、わかります、わかります。

後姿って、あまり確認しないので、ついノーチェックになりがちなんですが、ある日、ふと鏡に映った後ろ姿を見て、「このお尻は誰?」と思ったこと、私にもあります。

私の場合、定期的にジムに通って運動はそれなりにしており、トレーナーの方にヒップアップのメニューを組んでもらって、日々一生懸命やっているにも拘らず、一度下がったお尻はなかなか上がって来てくれません。

切ない。

もうひとつ、「小太りのおやじ」

「小太りのおやじ」からも引用させてもらいますね。

”朝、起きる。ベッドから起きてリビングルームに行き、そこにある鏡に何気なく目をやる。

「え、この人、誰?」

・・・中略・・・・鏡の中にいたのは、背中を丸めた小太りのおやじであった。小太りのおばちゃんだったらわかる。おやじだったからびっくり仰天したのである。

・・・中略・・・・おばちゃんからおばあちゃんになるのはいいが、おばちゃんからおやじになるのは、どうしても食い止めたい。これは、私のこれまでの人生で、一番の試練だった。”

(そして、群さんは、小太りはすぐには修正できないが、おやじはすぐにでも何とかしなければならないと、何年も行ってなかったデパートの化粧品売り場に行き、美容部員のきれいなお嬢さんに、口紅を選んでもらいます。)

”つけてみたらおやじはおばちゃんになっていた。おやじの女装に見えないのが何より幸いだった。”

朝起きたら、鏡に知らない小太りのおやじが映っていたら、いくらなんでもビックリしますよね。

下がったお尻にお会いするより、何十倍もショックかも。

確かに、おばちゃんからおばあちゃんになるのは、自然の流れなので、どうということはないですが、おやじになるのは、「別の次元」、「あっちの世界」に行ってしまっちゃったような気がしますもんね。

これは、何としても阻止しなくてはなりません!

私はまだ「おやじ」までには到達していないと思いますが(思いたい、思わせてください!)、確かに、朝起きがけの顔は、とても他人様にはお見せできません。

それでもって、群さん、化粧品売り場で口紅つけたら、おばちゃんに戻っててほんとに良かったです。

もし、おやじの女装に見えてたら、さらに「異次元の世界」、「あなたの知らない世界」に足を踏み込んでしまってましたね。

群さん、ほんとに良かったです。

私もうれしいです。

まだ、最初の50ページくらいまでしか読んでませんが、今後の展開も大いに期待します!