注目キーワード
  1. お一人様
  2. セミリタイア

村上龍さんの「恋愛の格差」

タイトルに惹かれて、村上龍さんの「恋愛の格差」というエッセイを読みました。

村上龍さんの本は、はるか昔、高校生くらいの頃?、「限りなく透明に近いブルー」を読んだっきりでした。(なので、小説家というより、正直、テレビ東京の「カンブリア宮殿」のMCのイメージが強かったです。 )

「恋愛の格差」というタイトルですが、一見、恋愛にはあまり関係ない内容も結構あって、ちょっと男っぽい内容でなかなか面白いです。

彼の「本当」を知る唯一の方法

この項で、その通り!と思った件があります。

引用してみますね。

「『自立って言いますが、この不況でせちがらい世の中で、家族だけが安らぎを得る最後のよりどころではないのでしょうか』・・・中略・・・そういった意見をよく聞く。そのたびにいったいどうしてそういう考え方になってしまうのだろうと思う。安らぎを得る最後のよりどころが家族ではないかという問いかけはまったく間違っていない。だが、そのことと、家族の一人一人が自立することとは矛盾も対立もしない。」

その通りです!

こんなふうに考えてる(自立と家族の安らぎを求めることが相対すると考えてる)大人って、ほんとにいるの?と思うくらい、不思議です。

自立することと、家族に安らぎを求めるのって、どちらかを犠牲にしてどちらかが成り立つものではなく、両立できることですよ。

恋愛の条件を満たせない男

この項の中では、村上さんは、

「・・・恋愛の前提となる条件を満たしていない男が多いことがわかる。条件というのは、身長や容姿や年収だけではない。多いのは、依存し、甘えているのに、そのことに気づかないという男だ。依存というのは、ヒモのように女に頼って生きるということではない。暴力をふるうのも依存だし、三歩下がって黙っておれについてこいというようなことを言うのも依存だ。・・・中略・・・相手の時間や自由を侵し、相手の時間や自由を奪い、支配することで愛情を確かめようとするのは全て依存だ。・・・中略・・・要するに、愛情というのは相手のために耐え、我慢すること、相手のために自分を犠牲にすること、という旧来の『物語』がいまだに確固として残っているということだ。」

とおっしゃっています。

私の中で、うまく説明できなかった部分が、ちょっとふたが開いたような気がしました。

なるほど、依存と愛情かぁ・・・・。

他人に依存する人間にならずにすんだ

村上さん自身は他人に依存する人間ではなく、それは、教師として働いておられたお母様の影響が大きいとのこと。

「わたしが他人に依存する人間にならずにすんだのは母親の影響が大きいと思う。・・・中略・・・他人の嫌がることを押しつけるのもイヤだし、威張るのも、命令するのも、支配するのもイヤだ。同じように、嫌なことを他人から押しつけられたり、威張られたり、命令されたり、支配されるのもイヤだ。」

これもすっごく共感です!

自分がどの程度自立しているかどうかはわかりませんが、他人から干渉されるのがもっともイヤで、私にとっての最大のストレスです。

だから、他人のことも干渉しないです。

子供のころ、「自分がされてイヤなことは、他人にもするな」と親からも先生からも教えられましたから。

自分で考えて、責任とれる範囲で自由にやりましょうよ。

お互い、大人なんだから。

母の影響

考えてみると、村上さんの育った環境に私も似ているところがあるような気がします。

うちの母も看護士としてずっと働いてました。

なので、専業主婦のうちのお母さんのように、かまってもらった記憶はありません。

「もうちょっとかまってくれてもいいんじゃないの?」と子供心に思ったことは何回かあったと思いますが、その程度です。

母がうちにいなくて寂しくて、寂しくて、という記憶はないのです。

小学校の高学年や中学生くらいになると、むしろ、「どんどん働いて稼いでくれ」と思ってました(笑)。

そして、母からも、「女の人も経済力が必要」「働かざるもの食うべからず」などど言われてましたね。

なので、自然と、好きな仕事を見つけて働くのは当然、と割と小さい頃から思ってました。

子供心に、「母は看護士として働くことが好きなんだな」と感じていて、そんな母のことを誇らしく思っていたような気がします。

依存と愛情の勘違い

そのせいか、私は男の人にとってかわいげのないタイプになってしまったかもしれませんが、それでも、村上さんの言う「他人に依存しない人間」である方が、私とっては重要です。

この場合、かわいげがある女の人≒男の人に依存する傾向あり、という図式が成り立つような気がします。

村上さんの論理(論理ではないか)をちょっと無理やり当てはめると、

かわいげがある女の人→男の人のために尽くす≒男の人に依存する→男の人は依存されたことを愛情と勘違いする→女の人もそれを愛情と勘違いする→お互いに愛し合っていると勘違いする

依存と愛情の勘違い。

自立も含めて図式化すると、

自立 ⇔ 依存 = 愛情の勘違い

(まだ、完璧にはふたは開いてませんが)こんな感じでしょうか。