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益田ミリさんの「おとな小学生」

益田ミリさんの「おとな小学生」という本を読みました。

益田ミリさんを初めて知ったのは、当時通院していた接骨院の待合室にあった週刊文春を読んでいたときに見かけた「沢村さん家のこんな毎日 平均年令60歳」でした。

それまで全く彼女のことを知らなかったのですが、それからは毎週接骨院での週刊文春の「沢村さん家の・・・」を見るのがちょっと楽しみになってました。

ぴったり表現できる形容詞がなくて、うまく言えないのですが、なんかこう穏やかな気持ちになるというか、「そっか、これでいいんだ」という気持ちになるというか、あと時々「ふーん・・・」ていうのもあり。

ほっこりとか癒されるとかいうだけの感じでもなく、何なんでしょうかねぇ・・・・。

「おとな小学生」

益田ミリさんの週刊文春の「沢村さん家のこんな毎日 平均年令60歳」は読むようになったものの、彼女の他の作品は全く読んでませんでした。

というのも、彼女は漫画家だと思ってたので、「わざわざ買ってまでなぁ」という感じでした。

それが、ある日、図書館で益田ミリさんの本を見つけ、漫画だけじゃなくエッセイや小説も書いておられると知り、それから、彼女の本を時々読むようになりました。

で、今回読んだのが「おとな小学生」。

これは、益田ミリさんが子供の頃に読んだ絵本にまつわる思い、エピソード、諸々をエッセイと漫画で綴っていて、時々現在の大人の益田ミリさんが小学生の頃の自分と会話してる場面もあり、みたいな内容。

(これで、内容がうまく伝えられているかちょっと自信ありませんが・・・。)

その中のひとつで、「なんにでもなれる魔法」という項があるのですが、それを読んだ時、そういえば私、子供の頃、隣に住んでいたひとつ年上のみどりちゃんのことを、「本当は宇宙人なんじゃないか」って本気で思っていたことを思い出しました。

(ちなみに、「なんにでもなれる魔法」の内容とは、ほとんど関係ないのですが・・・。)(苦笑)

となりに住んでたみどりちゃん

当時、うちは父親の会社の社宅(公団みたいな感じ)に住んでいて、その隣(というか向かいというか)に住んでいたのがみどりちゃんでした。

今思うと、なんでそんなことを真剣に思っていたのか、56歳になってしまった私には想像もつかないのですが、当時小学3年生9歳の私にとって、ひとつ年上のみどりちゃんはすごく大人に思えて、いつもおちついてて、ワーワーキャーキャー騒ぐことなんて一度も見たことがなく、学校の成績も良く(と勝手に思っていた)、なんか顔も私みたいな丸顔ではなく大人っぽい整った顔で、着ている洋服も決してすごく高いというわけではないんだけど、なんかきちんとしてて汚れやシミなんかひとつもなくて、っていうような存在だったんですね。

あ、そうそう、なんかベレー帽をかぶっていた印象です。

みどりちゃんは宇宙人

だからと言って、年上のおねえさんとして憧れていたというのとも少し違ってて、「こんな小学生が世の中に存在しているはずがない。きっとみどりちゃんは、どこか知らない星から来た宇宙人なんだ。だから、普通の小学生みたいじゃないんだ。」と本気で思っていたのです。

で、「夜になったら宇宙と交信しているのかも。いつか、みどりちゃんは宇宙のどこかの星に帰ってしまうのかも。」なんてことも思ってました。

今思うと、みどりちゃんはちょっと大人っぽい小学生だけだったのかもしれませんが、当時の私の「子供の概念」を超えた彼女を、同じ人間の小学生と思うことができず、「宇宙人」と思うことで納得させていたのかもしれませんね。

我ながら、おぼこい小学生だったんだなぁ、とちょっと笑ってしまいます。

あ、「おぼこい」っていうのは、関西の方言らしいです。

今まで使ったことなかったんですけど、昔、関西の知人が使っていたのを聞いて「雰囲気のある良い言葉だなぁ」と思って覚えていたので初めて使ってみました。

その後・・・・

それから、我が家は両親が家を新築し、小学4年生から5年生になるときに社宅を引っ越しました。

その後、みどりちゃんとは会っていません。

10歳だった彼女はその後どんな人生を歩み、どこでどうしているのか・・・。

もしかして、宇宙のどこかの星に帰ってしまってはいないか・・・?

「みどりちゃん、私は宇宙ほど遠くはないけど、大人になってからは東京で長年暮らし、途中、アメリカや香港に住んだり、と好きな時に好きなところで暮らしてきましたよ。」と、なんだか彼女に伝えたい気持ちです。

「おとな小学生」が思い起こさせてくれた不思議な気持ち

「おとな小学生」を読んで、はるか40数年前の小学生だった自分が感じてたことをふと思い出しました。

あれから40数年たったなんて、あっという間とまでは言えないけれど、信じられないくらい早かったような気がするし、振り返ればすごい年月が流れているんですね。

小学生1年生が終わってやっと2年生になるとき、その1年がものすごく長くて、「はぁ~、やっとの思いで1年生が終わったよ。小学校を終わるまでに、これをあと5回もしないといけないなんて・・・・」と絶望的に気が遠くなったのを覚えています。

(以前に、友人にこのことを言ったら、「小学1年生でそんなこと考えるなんて変わってる!」とかなり強い調子で断言されてしまったのですが、そうですかね?)

それが今では、40数年が思いのほか早かったって感じるなんて、これって何なんでしょう。

益田ミリさんがすごいのは・・・

単に子供の頃を懐かしむというのともちょっと違うし、(よくある)大人になって1年があっと言う間にすぎるわぁとか、これまでの人生を振り返ってたそがれるというのともなんか違う、この不思議な気持ちは何なんでしょう。

初めて益田ミリさんの作品を読んで、「ぴったり表現できる形容詞が見つからない」と言いましたが、彼女のすごいところは、私にこういうことを思い出させてくれて、そのことをこれまたなんとも形容しがたい不思議な感覚、でも間違いなく心地よい気持ちにさせてくれることなんですねぇ。

この感覚、なんて言い表したら伝わるんでしょう。