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季節遅れの手編みカーディガン

私の母は認知症で、老人ホームに入居しています。

で、去年(2019年)の秋の終わりくらいから、母に何か編んであげようと考えていました。

ほんとは、会社を辞めた2018年の冬に母に何か編みたいと思っていたのですが、結局その年の冬は何もせずにすぎてしまいました。

最初はベストのつもりが・・・

そんなこんなで、昨年(2019年)の冬は何か編みたいなぁと思っていたのですが、「とはいっても、編み物をするのは20年ぶりくらいなので、大丈夫かなぁ・・・・」という不安な気持ちも。

手編みでセーターは編んだことはあったのですが、なにせ20年前。

なので、袖のないベストがいいのでは?と思い、図書館で手編みベストの本を物色。

良さそうな本を借りて、その中で2デザインくらい選んで、面会した際にどちらがいいか母に聞いてみました。

で、母が選んだデザインをもとに、毛糸を買いに手芸店へ。

ですが、本に書かれている毛糸と同じような毛糸がなく・・・・・。

代わりに1袋(5玉)750円の、母の好きそうなブルー系の色合いのセールの毛糸を発見。

ベストなら5玉×2袋でよいのですが、この毛糸だったらセーターやカーディガンの方があいそうと思い、安いし3袋購入。

で、母にベストでなくてカーディガンでもいいかと聞いたら、ベストを編むつもりだったことは全く覚えておらず、「ほんと?うれしいわ、ありがと」と(笑)。

カーディガン、前途多難

図書館に行き、ベストの本は返却、参考になりそうなカーディガンが載っている本を借り、早速着手。

最初からつまずく

とはいかず、ゲージを編んだはいいものの、本のサイズにならず、自分のゲージにあわせて目数を計算したり、ゴム網の作り目のやり方を知らず、普通の作り目から始めたものの、途中で気づいてほどいて編みなおしたり・・・。

このゴム網の作り目っていうのが、慣れるまでなかなかうまく行かず、何度も失敗してはやり直す、ということの繰り返し。

とにかく、ユーチューブで編み方をチェックしながらどうにか、こうにか。

そうこうしながら、後ろ見ごろ、前身ごろ、片袖まで編んで、あとはもう片袖というところまでやっとの思いでたどり着いたら、なんと、この調子で編むと残りの毛糸が足りなさそう!

また最初から・・・

で、すべてほどいて、最初からやり直し。

はぁ~。

毛糸が足らなくならないように、もう一度、寸法を調整し、目数も計算。

もはや、本に書いてあるサイズや目数とは全く違うものに(苦笑)。

特に、袖山の増やし目と袖ぐりの減らし目のバランスがむずかしく、どの程度にすればいいものか・・・、悩みましたね~。

ま、私の適当な勘でやるしかないので、やりましたけど(笑)。

ですが、この頃になると編み物をするのが楽しくなっていました。

編み物って、編み針と毛糸だけでできるし、なにより、やったらやっただけ形になってできていく、っていうのが快感です。

やっと完成したのが・・・

で、やっとの思いで完成したのが、これです!

ごく普通の丸首の前開きカーディガンです。

なんかちょっと昭和っぽいですね、ふふふ。

ですが、完成したのは3月も既に後半。

でもまだ寒い日もあるかと思い、母のところに持って行こうと思っていたら、新型コロナウィルス感染予防のために、面会は控えて欲しいと老人ホームから連絡。

仕方ないので、他の春物の洋服類と一緒に宅配便で送りました。

私がカーディガン編むって言ったことなんか、当然覚えてないだろうなぁ。

今年の冬も

引き続き母に面会はできてないのですが、ビデオ電話が可能ということで、ビデオで母と話した際に、カーディガンを送ったことを言ったら、案の定、私がカーディガンを編むって言ったことも、受け取ったことも覚えておらず「そうなん?わぁ、ありがとう!」と。

まぁ、母との会話は大体こんな調子なのですが(笑)、私としてはいろんなことを全て覚えてもらっているとちょっと照れくさかったりするので、このくらいの方がよいのです。

母の認知症が少しずつ進むのは切ない気持ちも当然ありますが、認知症だからこそ、余分な感情がそがれて、子供のように純粋な感情だけになっていく母に、私も心が洗われる思いです。

たとえ認知症になっても、母が教えてくれることはまだまだたくさんあります。

今年の冬も母に何か編もうと思っています。

今度は季節が変わらないうちに完成するように!(笑)