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50年後の同級生

今年(令和4年度)、町内会の副組長の当番がまわってきました。

私の町内会は地域ごとにいくつかの組に分かれており、その組の副組長というわけです。

副組長の主な仕事は会計、それと、福祉委員も兼務ということになっています。

ちなみに来年は組長の当番で、ちょっと気が重いです(苦笑)。

町内会の集会のお知らせ

で、先日、町内会の福祉委員会の集会のお知らせが届きました。

お知らせの書類には、時間、場所、各組の福祉委員の氏名と電話番号が書いてあります。

一応自分の名前を確認し、他の人の名前もさらっと目を通してみたところ、役員の一人になにやらどこかで見たような名前が。

これって誰だっけ?

次の瞬間、思い出しました。

小学校の時の同級生(男子)でした。

すぐに思い出したのは、彼がクラスでも「ちょっと変わった男子」だったから。

児童会の選挙運動

今でも記憶に残っているのは、彼が児童会(生徒会の小学校バージョン)の会長に立候補した時のこと。

一般の選挙みたいに投票するのでその前に選挙運動をするのですが、彼の選挙運動が他の立候補者とはちょっと違ってたんです。

というか、かなり違う?

毎朝、学校の正門のところに立って登校してくる下級生(特に低学年)に自分から歩み寄って挨拶しながら握手。

低学年の子達は面白がって群がるので、彼はすこぶるご満悦な様子。

そしてそのいでたちは、大人の立候補者のように自分の名前を書いた白いたすきを斜めにかけ、これまた白い手袋をはめてるんです。

このたすきと手袋、もちろん自前、立候補者のための選挙運動の備品ではありません。

なのでそんなことをしている立候補者は、彼以外には皆無。

いやぁ、最初にその姿を見たとき、ひきましたねぇ~

もっというと、「近づきたくない、同じクラスだと思われたくない」とまで(笑)。

本当に自分に投票してほしくてそうしてるのなら「大人の真似してる目立ちたがり屋のちょっと変わったやつ」なんでしょうけど、彼の場合ちょっと違うんです。

なんか薄笑いというかにやついた感じの顔で、主に低学年の子に近づいて握手とかしてるんですよ。

というのも彼は、この選挙活動の時だけでなく、いつもにやついたような何を考えているのかわからないような印象で、当時私を含めた女子達は正直ちょっと気持ち悪くて距離を置いてました。

なので、彼の様子は1ミリも視界に入ってないようなそぶりで、なるべく離れてそのまま通り過ぎましたけどね。

たぶん、他の女子も全員、私と同じで何もなかったようにそのまま通り過ぎて行ったはず。

そして肝心の選挙結果ははっきりとは覚えていませんが、落選したような気がします。

50年前の姿が鮮明に

で、集会のお知らせにその名前があるのを見たとたん、あの時の校門に立っていた白いたすきと手袋の彼の姿を鮮明に思い出したというわけです。

50年近くたっているのに、その時感じたのはもちろん決して懐かしさなどではなく、「ひやぁ~、あいつだ。変な小学生がそのまま変なおじさんになってたらどうしよう。顔見るのいやだなぁ」という感情だけ。

そしてもっとも恐怖だったのが、「向こうも私のことを覚えていて、話しかけてきたりしたらどうしよう!」

そうなったら、絶対忘れたふりします!

誰が何と言おうと!

ただでさえ、町内会の集まりって面倒で気が進まないのに、あの同級生がいるのかと思うとますます行くのが億劫になってしまいます。

もしかして大人になった今もやる気満々で役員になってて、あの時と同じようにたすき(や手袋も?)とかして握手を求めてくるような変なおっさんだったらどうしよう???

にわかに背中に恐怖が走ります。

ですが、そこは常識ある大人として、福祉委員の当番なのですから行かなくてはなりません。

はぁ~、気が重い。

そして、50年後の同級生の姿は

そして迎えた当日、自転車をこぐ足は重かったですが、集会場所の公民館に向かいました。

で、公民館に着くと、全員で40~50人のうちほぼ中高年、男性8女性2くらい。

組ごとに3つのグループに分かれ、それぞれのイベントを担当するそうで、その準備などの詳細を説明されるようです。

私のグループは敬老会のイベントの担当。

過去2年はコロナの影響で開催されなかったようなのですが、今年は時間を短縮して3年ぶりに開催することになったそうです。

複数いる役員もそれぞれ担当のイベントがあり、役員のうちの二人が私のグループのテーブルに近づいて着席。

「パッと見た感じ、あの同級生ではなさそう」と安心したのもつかの間、その役員が自己紹介をした時、我が耳を疑いました。

なんとあの例の同級生だったんです!

絶対に気づかれないように目をふせがちにしていましたが、怖いもの見たさに時々ちらっと見る彼は小学生の頃の面影はゼロ!

まがいもない田舎のおっさんというより、パッと見はむしろ「おじいさん」。

お腹こそ出てはいませんでしたが、白髪頭に、いかにも老眼鏡っぽい眼鏡をかけ、どこからどう見ても、おじいさんの域に達しています。

すみません。

でも、本当におじいさんだったんです。

どう見ても同級生とは思えない・・・・

時はかくも厳しいものなり

向こうが私に気づいたかどうかはわかりませんが、とりあえず声を掛けられることはなく、集会は30分ほどで無事解散となりました。

ふぅ~

しかし、実際の敬老会の日には準備などでまた顔を合わせることになるため、ちょっと不安が残ります。

それにしても、なんと衝撃的な50年後の同級生の変わり果てた姿・・・

まぁ、59歳とか60歳の田舎のおっさんてあんなものなのかもしれません。

でも、私のまわりの同年代の友人(女性)や、前の会社の同僚(男性含む)とはあまりにかけ離れた外見にちょっとびっくり!

個体差が激しすぎる!

置かれた環境や毎日の過ごし方で、人間てこんなにも差が出るんでしょうか?

時はかくも厳しいものなり・・・