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益田ミリさんの「『わたしを支えるもの』すーちゃんの人生」②

すーちゃんの先輩のさわこさんにも色々考えることがあった、すーちゃんシリーズ第5作です。

さわこさんのお母さんが入院

実家を離れ一人暮らしを始めたさわこさんのもとに、お母さんが入院する連絡があります。

(どうやら、認知症で寝たきりのおばあちゃんは亡くなってしまったようで、お母さんも実家で一人暮らし、厳密にはネコのミーちゃんと一緒に暮らしているようです。)

検査入院で済み大事ではなかったものの、さわこさんは「自分が入院した時、誰がお世話してくれるんだろう」とか、会社の人が気を使ってくれることに感謝しつつも「結局は自分は孤独で、足下はぐらぐらの綱渡り状態なんだ」と思ったり・・・。

45歳になったさわこさん、「結婚したり、子を産んだりという選択がなくなって、迷いがなくなったかといえばそうではなく、別のもやぁっとした何かが背中に張り付いているような・・・」と感じています。

傾聴ボランティア

お母さんのお見舞いに行ったある日、病院の職員さんから「傾聴ボランティアをやってみないか?」ともちかけられます。

さわこさんが、同じ病室の隣のベッドのおばぁさんのお話を聴いてあげていたのを見て、「向いているのでは?」と思われて声をかけられたようです。

この年になって誰かに「向いている」と言われたことをうれしく感じ、やる気になるさわこさん。

とはいえ、講習を受けたり、自分で色々考えるうちに、「こんな自分でお年寄りの話を聴いてあげられるのかな」と弱気な気持ちも出てきます。

ですが「『聴いてあげる』んじゃなく、『聴くことができる』んじゃないかな」と気持ちに変化が芽生えます。

いい感じ、さわこさん。

初めての傾聴ボランティア

そして、いよいよ初めてのボランティアの日を迎えます。

結果はうまく会話が続かず、ちょっと凹むさわこさん。

ケアホームの職員さんからは、「お年寄りにとっては、話す行為そのものが大切」と慰められますが、明らかに役に立っていない自分にがっかり。

そもそも相手のお年寄りの名前も覚えていない自分に愕然とし、心のどこかで「まだ聴いてあげるって思ってるからだ、会話を続けるために表面上とりつくろうとしているせいだ、それが相手にも伝わるのでは?」と反省、分析。

えらいね、さわこさん。

傾聴ボランティア2回目

そして迎えた2回目の傾聴ボランティア。

今度は、相手のお年寄りの苗字だけでなく下の名前を聞いたり、出身や以前の仕事など色々な情報も聞きメモをとってからお年寄りの話を聴き始めます。

初めての時とちがって、相手のお年寄りも自然に会話を楽しんでくれたようです。

よかった、さわこさん!

さわこさん(とすーちゃん)の人生

それから数日たち、お父さんが亡くなって東京に戻ったすーちゃんから、鹿児島のお土産をもらうさわこさん。

すーちゃんは、あえてお父さんが亡くなったことはさわこさんには「まだ言わないでおこう」と思います。

それは、さわさこんに心配された自分が「大丈夫」と言って強がらないために。

すーちゃん、表面的には大丈夫そうにしているけれど、今はまだ一生懸命こらえています。

お父さんが亡くなった悲しみはもちろん、土田さんにももう会わないと自分で決めたすーちゃんです。

自分の足でしっかり支えられるようになるまで、自分で消化できるまで。

そうとは知らないさわこさんですが、すーちゃんに「『歳とってしまった、もう45歳になってしまった』っていう言い方をやめようと思う」と言います。

そう言われたすーちゃんも、「あたしもやめたくなった、やめる」

そして、ふたりは「あたしたち、いつかおばぁさんになろうよ」「うん、なろう、おばぁさんになろう~」

この二人、仲は良いのですが、だからと言ってお互いに何もかも話すわけではありません。

自分の中で噛み砕いて、ちゃんと大人として消化しようとします。

消化する前に、相手にぶちまけてとっちらかすなんてことはしない二人です。

二人ともステキです。

きっと、自分自身が幸せを感じられる人生を送られる女性たちだと思います。

がんばれ、さわこさん、すーちゃん!