ある日のスーパー、1歳と5歳くらいの子供2人を連れたお母さん。
お母さんはだっこヒモで 1歳の子供を抱き、早く買い物を終えて家に帰ろうと、買ったものを次々と手早くレジ袋に入れてます。
お母さんは忙しい。
5歳のお兄ちゃんは、お母さんがレジ袋に入れるのをおとなしくじっと待っています。
ですが、どうやら欲しかったものがあったようで・・・。
「おにわりさん」とはなんぞや?
「おにわりさん、今日は買わないよね?」と遠慮がちにお母さんに尋ねるお兄ちゃん。
横で袋詰めをしていて、そのお兄ちゃんの声が耳に入った私。
「おにわりさん?おにわりさんとはなんぞや?」
「最近、小さい子の間で流行っているお菓子か何かか?」
初めて耳にするその言葉に、一瞬「???」と思いましたが、頭の中でひらがなを変えてみたりして、どうやら「おいなりさん」のことだと判明。
「おいなりさん」→「おにわりさん」
かわいい。
お母さんは忙しい
かわいくてほんわかした微笑ましい気持ちになりましたが、一方で私なりに分析してみました。
なぜ「おいなりさん」が「おにわりさん」に?
彼は母音の「お」の後に、もう一度母音の「い」を続けて言えないのだと。
さらに微笑ましいのが、このお兄ちゃんが「おいなりさん」のことを「おにわりさん」と言ってしまうのは、お母さんにとっては至極当然のことのようで、「そう、今日はおいなりさん、買わないの。」とピシッと言い切ります。
その間も買い物の袋詰めをする手は決して止めず。
お母さんにとっては、お兄ちゃんが「おにわりさん」と言うのをもはや微笑ましく感じるステージではなく、もしくはそんな余裕などはなく、とにかく目の前の家事をこなす毎日なのでしょう。
とにかくお母さんはタイヘンなのです。
どうか、この次は「おにわりさん」を
そんなことを隣であれこれ考えているおばさんがいるとはつゆ知らず、この親子は袋詰めを終え、スーパーを去っていきました。
舌ったらずで「おいなりさん」と言えないくらいまだ幼く、それでも自分はお兄ちゃんだから、今日は「おにわりさん」を我慢しなくてはならないことを理解しているこの5歳の男の子を、赤の他人のおばさんは抱きしめたくなっちゃいました。
「おにわりさん」、おいしいもんね。
お母さん、お忙しいと思いますが、次にお買い物に行くときは、どうかお兄ちゃんに「おにわりさん」を買ってあげてくださいな。
あなたのお子さん、とってもいい子に育ってますよ。