最近、紙の本を買うことがめっきり少なくなったのですが、久しぶりに買ったのがこの「全面改訂第3版 ほったらかし投資術」です。
というのも私の資産運用は、この本の前回の2015年出版の「全面改訂 ほったらかし投資術」を読んでから始まったと言ってもいいくらいで、この2015年出版と今回の第3版にどんな違いがあるのか知りたかったからです。
資産運用を始めたきっかけ
私が資産運用を始めたのは、2015年に父が亡くなり、ある程度のまとまったお金を相続したことがそもそものきっかけです。
当時、投資とか資産運用には全くと言ってよいほど興味も知識もなかった私は、「いったいこのお金、どうすればいいの?」と正直ちょっと困ってました。
ただ、資産運用に全く興味のない私とはいえ、「銀行に預けておくだけではもったいない」ということぐらいはわかっていました。
当面使う予定もなかったし、どうせなら少しでも増やしたいと思うのは当然ですよね。
そこで、「なるべくリスクは少なく、かつ銀行預金よりも少しでも多く増やす方法はないものか?」と考え、まずは、初心者にもわかりやすい資産運用に関するブログや書籍などを色々読みあさりました。
そうこうしているうちに、「インデックス投資信託を積み立てて買って複利で増やす方法が、自分にはあっている」という考えにたどり着きました。
水瀬ケンイチさん
その頃よく読んでいたブログのひとつが、この本の著者の一人の水瀬ケンイチさんの「梅屋敷のランダムウォーカー」というブログです。
水瀬さんは会社員として働くかたわら、2002年ごろから資産運用を開始、20年後(2022年1月)にはインデックス運用で約1億円の資産を築くことができたそうです。
1億円の資産というと、一見、投資に大成功した勝ち組というイメージがあるかもしれませんが、水瀬さんはそういう派手なタイプの投資家ではありません。
我々と同じごく普通の会社員を続けながら、投資を始めた頃のご自身の個別株の経験(の反省)もふまえて、「短期間で個別株の売買をするのではなく、長期間かけてインデックス運用をコツコツ積み立てて複利で増やしていく方法が、自分にとっても、また、いわゆる投資にそれほど詳しくない普通の方にとってもベストな運用方法ではないか」ということをおっしゃっていました。
私は、個別株を売買して利益を得るという投資スタイルは自分には向いていないと思っていたので、水瀬さんのこの地道な投資スタイルが、当時(も今も)私にとってすごく腹落ちしたんですよね~
山崎元さん
それと、もうひとりの著者の山崎元さんという経済評論家の方の記事もよく読んでいました。
山崎さんは、当時楽天証券の経済研究所客員研究員でありながら(現在は退職されているようです)、自社に有利な情報だけでなく、個人投資家、特に私のような超初心者にもわかりやすい情報を幅広く提供されていました。
私の勝手なイメージかもしれませんが、銀行や証券会社の担当者やFPと呼ばれる人は、投資家にとって有益な情報ではなく、自分の会社に有益な情報を提供するという印象を持っていました。
(今も持っています。苦笑)
一方、この山崎さんは自社である楽天証券にとってネガティブな情報でも、それが個人投資家にとって有益な情報であれば何の忖度もなく提供されていました。
なんなら、「他社の方が○○の点では優れているので、おすすめする」とおっしゃることもしばしば。
そう、「投資家ファースト!」なんです。
で、私、「この人は信用できる!」と思ったんですね~(笑)
そして、この二人の共著で執筆された、2015年出版「全面改訂 ほったらかし投資術」を読んだ私は、その内容通りに資産運用を始めたというわけです。
2015年出版の「全面改訂 ほったらかし投資術」の運用方法は?
私が読んだ2015年版の「全面改訂 ほったらかし投資術」の資産運用の具体的な方法は、確か、
- (運用資金は余裕のあるお金でやるものなので)まず、当面の生活資金を別にしておく
- その運用資金を、リスク資産と無リスク資産を半分ずつに分ける
- リスク資産の内訳は、外国株と日本株のインデックス投資信託を半分ずつにする
- 無リスク資産は、銀行の普通預金や定期預金、または個人向け国債(10年変動)
というもので、すごくシンプルでわかりやすかったです。
資産運用超初心者の私は、父から相続した遺産をこの割合どおりに分散、提示の運用商品に投資し、それと同時にiDeCoとNISAも始めました(厳密には遺産は②~④、①はそれまでの貯金を充当)。
一方、第3版の運用方法は?
一方、第3版で説明されているほったらかし投資術の具体的な方法は、以下のとおりです。
- 当面の生活資金(3~6ヶ月分)を普通預金へ置き、それ以外を運用資金とする
- 運用資金から、リスク資産と無リスク資産の割合を決める
・リスク資産の割合は、最悪の場合、1年後に1/3程度損をするリスクと一方で40%程度のリターン、長期では平均して年率5%程度の収益率を許容できる金額を決める
・無リスク資産は、運用資金からリスク資産を差し引いた残りの額とする - リスク資産は、手数料が安く全世界の株式に投資するインデックスファンド「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などに投資する
- 無リスク資産は、銀行預金(1行、1000万円まで)または、個人向け国債(10年変動)で所有
- その他に、NISAやつみたてNISA、iDeCoなどの税制上の優遇措置があるものを利用
・投資商品は、前述の全世界株式で手数料の安いインデックスファンドに投資する - NISAやつみたてNISA、iDeCoなどの税制上有利な口座を利用しつつ、余裕のある場合は適宜積立投資するのもよい
第3版と2015年出版の違いは?
第3版と2015年出版との運用方法の主な違いは、リスク資産の割合とその投資対象ですね。
リスク資産の割合の決め方
2015年版では、リスク資産と無リスク資産は半分ずつでしたが、第3版では、「1年後に1/3の損と40%の利益、平均して年率5%とした時に許容できる額」としています。
(この1/3、40%という数字の根拠は説明すると長くなるので、詳しくは本書を参考にしてください。)
ただ、実際にはこの条件だけでリスク資産の額を決めるのは難しいので、山崎さんは、次のような360万円を基準に考える具体的な方法を提示されています。
65歳でリタイヤしてやや長めの30年後の95才までを老後として、30年=360ヶ月となり、360万円は老後1ヶ月1万円に相当します。
老後の30年の生活費において、1ヶ月1万円を損しても大丈夫な場合、その3倍の1,080万円までリスク資産に投資できるという考え方です。
なるほど、具体的でわかりやすいですね。
リスク資産の投資対象
次にリスク資産の対象ですが、2015年版では外国株式と日本株式のインデックスファンドを半分ずつということでしたが、第3版では、全世界株式のインデックスファンド1本でよいとされています。
仮に2015年出版の方法に沿って、外国株式と日本株式を半分ずつ持っている場合、それぞれの株価の変動によってその割合が変わって来ます。
その場合、50%ずつに戻すリバランスという操作をしなければなりませんでした。
これでは、厳密には「ほったらかし投資」にはならないですよね。
一方、全世界株式は全世界で売買される株価によって、株式市場が大きい国は割合を大きく、小さい国の場合は小さくなる仕組みになっているため、それらのバランスは(投資家は何もしなくても)常に一定に保たれています。
それなのでリバランスを自分で操作する必要がなく、文字通り「ほったらかし投資」できることになります。
ただ、山崎さん曰く、近年の内外の株の連動性は高まってきており、全世界株式1本と外国株・日本株を半分ずつ持っているのとどちらがいいのかの差は小さくなっているそうです。
従って、外国株と日本株を50%ずつ持っている場合、無理してそれらを売却して全世界株式に乗り換える必要はないそうです。
特にNISAやiDeCo口座で運用している場合、せっかくの非課税枠を使ってしまうことになり、逆に損をしてしまう可能性があります。
これからもコツコツと
と、ここまでは、本書の内容のほんのさわりの部分で、他にも役立つ内容がたくさん掲載されています。
ちょっと難しい部分もありますが、1章、2章、3章などの前半は初心者にもわかりやすい内容も多く、とっつきやすいと思います。
私自身も2回ほど読みましたが、それでも全ての内容が腹落ちするほど理解しているわけではありません。
ですが、少なくとも、今後の資産運用の方向性がより明確になりました。
来年からは新NISAも始まり、これまでのNISAやつみたてNISAと比較して、我々庶民にとってさらにメリットが大きく、資産運用がやりやすくなります。
ちなみに本書は2022年3月に出版されているので、新NISAについての説明はありませんが、新NISAについての情報はブログやユーチューブなどでアクセスすることができるので、自分なりに新NISAの運用方法をざっくりと考えています。
今でも初心者の域を出ていない私ですが、7年前の2016年に資産運用を始めて本当に良かったと思っています。
これも、水瀬さん、山崎さんの「ほったらかし投資術」とその他の先輩個人投資家の方々のおかげ。
私が資産運用をする目的は、できるだけ誰にも迷惑をかけず、誰からも干渉されず、やりたくないことはやらなくてすむ、やりたいことをお金のために我慢しなくてよい生活をするためです。
そのために、これからも地味にコツコツと、私なりの資産運用を続けていきたいと思っています。
資産運用初心者の方(&初心者でない方にも)、「全面改訂第3版 ほったらかし投資術」、おススメです。