先日、母が胃ろう増設術で入院したので、母が加入している医療保険に給付金を請求したのですが、その時に感じたちょっとしたモヤモヤのお話です。
認知症の場合はNG?
実は、給付金を請求しようとしたのは今回が初めてではありません。
約2年ほど前になるのですが、脳梗塞の疑いで入院したことがあり(結果的には脳梗塞ではなかったのですが)、その時に保険会社に、本人が認知症で自著も難しい場合の給付金の請求方法を確認したことがありました。
保険会社のコールセンターの担当者の回答は、「認知症の場合、給付金の請求はできません」というもの。
正直、ちょっと驚きました。
だって、今時認知症はめずらしくない病気なのに、その認知症になったら給付金を請求できないなんて、それじゃぁ保険金を払った分だけ損するってこと?
(うちの母の場合は死亡保障もついているので、厳密に言うと損はしないのですが)
ただ、その時は4日程度の入院だったので、給付金も微々たるもの。
とりあえず書類だけは送ってもらったのですが、給付金の手続きはしませんでした。
ですが、「認知症の場合は給付金を請求できない」という保険会社の回答が気になって、その後ネットで調べてみました。
すると、認知症になった場合、家族などが代理で請求できる特約がある保険会社もあり、最初にその特約をつけておけば、認知症でも代理人が請求の手続きをすることができるようです。
ですが、母の加入している保険会社のHPを見たところ、それに値する特約らしきものは見当たりませんでした。
いや、認知症の場合でもOK?
で、今回の胃ろうでの入院の話に戻るのですが、今回は1ヶ月以上の入院だったので、もしもらえるとしたらそれなりの金額になります。
それで、前回問い合わせた時に「認知症の場合は請求できない」と言われたものの、ネットで調べた認知症の場合の特約のような代理人による手続きができないのか、ダメ元で再度コールセンターに問い合わせてみたんです。
で、一応「前回問い合わせた際に、『認知症の場合請求できない』と説明されたが、代理人による請求手続きなどはできないのか?」と聞いたところ・・・
「前回の担当者の説明が十分でなく、申し訳ございません。認知症の方でも代理で請求することを理解、納得されていればその代理人が請求することは可能でございます」と、今回の担当者は回答するではありませんか!
え?
前回問い合わせた時の担当者は、そんなこと一ミリも言ってなかったけど?
ちょっとここで、前回の担当者に不信感が芽生えます。
なんでそのことを説明してくれなかったんでしょう?
とは思いましたが、今回の担当者がすごく申し訳なさそうに謝られていたので、今さらそのことをグチグチ言っても仕方ないと思い、ここはぐっと我慢。
「とにかく請求できるなら」と、手続きの方法を細かく説明してもらいました。
手続きの方法は、保険会社から以下の書類が送られ、それらに記入、その他の必要書類と一緒に返送すればよし。
- まず、代筆による念書(本人に代わって代筆する旨の念書)
- 次に、家族情報登録制度申込書(家族が契約内容を確認したり、書類の送付を依頼できる制度)
- そして、給付金請求書
(ちなみに診断書は以前に取り寄せたものがあったので、それを使用)
これらの書類を送ってもらうことで、とりあえずその時の問い合わせは終了。
母に説明
で、次に私がしたことは、母にこの代理請求のことを説明して理解してもらうこと。
胃ろうで入院した後、母は自分から話す能力はそれまでと比べて衰えてしまいましたが、私達が言うことはゆっくりわかりやすい言葉で話せば理解できています。
なので、面会に行った際、胃ろうの入院・手術給付金の請求について説明し、「字を書くことが難しいため私が代わりに書類を書いて請求してよいか?」と聞いたところ、「いいよ。そうして」とはっきりうなづいて答えました。
ですが、念には念を入れて用心深く進める方がよいと思った私、「もし母があまり理解していないのに、とりあえず返事だけしてしまっていたとしたらよくない」と思い、念のために次の面会の際にももう一度同じ説明をしてみました。
すると母からは、この時も「いいよ」という返事。
2回確認したので、私としてもちょっと安心。
届いた書類には、認知症はNGの記載
で、数日後、保険会社から書類が到着。
上記の3つの書類の他に、医師の診断書、母と私の本人確認書類や印鑑証明なども準備して、全て記入し、返送。
ただ、実は私、この時点で「これでOK」と思っていたわけではありませんでした。
というのも、コールセンターの担当者からは、「認知症でも代理人請求のことを理解していれば可」と説明されましたが、代筆による念書には、「代筆は高齢などで自著が難しい場合の対応で、認知症の場合は対応しない」という内容の記載があったからです。
「なんか、この間の担当者の説明と違ってるなぁ」と思ったのが正直なところ。
この記載だと、認知症の人は有無を言わさずNGってことじゃないですか?
ちなみに、医師の診断書にも、手術は「嚥下機能の低下による胃ろう増設術」で、その原因が認知症とはっきり書かれています。
通常、保険会社は給付金の請求があった際は、担当医師などに病状などを確認するらしいので、医師が「代理人請求などのことを理解するのは難しい」と答えれば、保険会社は今回の請求を却下するだろうと推測。
たとえ、私が母にわかるように説明して理解した事実が(2回も)あると保険会社に説明したとしても、保険会社にしてみれば、娘の私の主観的な説明より、医師の説明の方が客観的で判断すべき基準となるでしょうから。
なので、必要な書類は返送したものの、この時点でもダメ元だと思っていたのが本音です。
案の定、認知症はNG?
そしてさらに数日後、保険会社より「診断書を確認したところ、認知症との記載により意思能力判断ができない旨を確認したため、家族情報登録制度申し込みの手続きについて取り下げいたしました」という旨の通知が届きました。
(担当医師に直接確認したという旨は記載されていませんでした)
「やっぱりね」とは思ったものの、取り下げになって戻って来た書類は「家族情報登録制度の申し込み」だけ。
そもそも「認知症の場合は不可」と書いてあったのは「代筆による念書」だったのに、そっちの方はどうなってるの?
そして肝心の「給付金の請求」は?
今後、それぞれに別に取り下げの通知が届いて返却されるの?
ちょっと謎・・・・
やっぱり、認知症でもOK?
疑問に思いながらも、「たぶん、給付金の請求は無理だな・・・」と半分あきらめて過ごすことさらに数日が経過したある日、保険会社から通知が届きます。
それには、「入院給付金の手続きが未了になっているため、完了に必要な書類を記入、送付してほしい」との内容。
頭の中は「???」状態。
Q1 : 認知症で意思判断能力がないから取り下げたのは、「家族情報登録制度申し込み」の手続きだけってこと?
Q2 : ってことは、「代筆による念書」と「給付金の請求」の手続きは取り下げられてないってこと?
Q3 : つまり、「給付金の請求」はできるってこと?
そこで、念のために、またまたコールセンターに問い合わせてみました。
結果 : Q1、Q2、Q3全てYESでした・・・・
そう、「認知症でも給付金の請求はできる!」ってことなんです。
ただ、新たな手続きが必要で、その方法は、
- 推定相続人の中から代表者(この場合は私)を選ぶ
- 母と私の戸籍謄本を準備(私が母の相続人であることの証明)
- 推定相続人代表者選任届を記入
- 給付金請求書を記入
して、返送すればよいらしい。
そもそも「認知症は不可」との記載があった「代筆による念書」は、私が推定相続人代表者となることで、その私が代筆する旨の念書として扱うらしいです。
それなら、「認知症は不可」なんて記載しなきゃいいのに・・・・(やや怒)
なんかすっきりしないけど・・・・
とりあえず、保険会社の指示する手続どおりにやったので、おそらく何事もなければ給付金はもらえそうな気はしています。
なので、そうなったら結果オーライなのですが、正直、この保険会社の対応にはちょっとモヤモヤ感が残ります。
だって、
- 最初の問い合わせでは、認知症の場合は請求不可、それ以外の説明は一切なし
- 2回目の問い合わせでは、認知症でも本人が理解できていれば代理請求が可能、と説明が変化
- なのに、診断書に認知症と記載されていたため、「家族情報登録制度の申し込み」が取り下げ
- だけど、「代筆による念書」と「給付金の請求手続き」は取り下げられておらず、新たに、推定相続人代表者を立てれば(認知症でも)請求できる
なんか、おかしくないですか?
それぞれの担当者や書面の内容が、その前段階の説明とちょっとずつ食い違っている、若しくは説明不足の印象です。
ちょっとややこしいけど、最初から「認知症の場合は、推定相続人代表者による代理手続きが可能となること」を説明してくれていたら、余計な書類を記入したり、何度も書類を郵送したりする手間や時間が省けたというもの。
(ちなみに、最初に準備した母と私の印鑑証明は必要な書類だったので無駄にはなっていませんが)
なんなんでしょう、この保険会社の対応・・・・・?
思うに、コールセンターの担当者へ認知症の場合の正しい手続きの方法が説明されていないように思います。
1回目も2回目もそれぞれの担当者の説明と違う手続きを、結果的にすることになりましたから。
まぁ、今のところ、こちらとしては、先方の指示通りの手続きをしているので給付金は入金されるとは思いますが、いやいやしかし、この保険会社、まだどんでん返しをしてくるかもしれませぬ。
無事に給付金が母の口座に振り込まれるまでは、粛々と注意深く状況を見続けましょうぞ。
結局・・・・
と思っていたら、保険会社から通知が届きました。
「結局、給付金はOKなのかNGなのか?」と思いながら封を開けてみると、そこには「お手続き完了のお知らせ」の文字が。
おぉ~!
無事に母の口座に給付金が振り込まれたことのお知らせでした。
ちょっと時間も手間もかかってドタバタしましたが、とりあえず給付金が振り込まれて良かった。
と一安心していたら、もう1枚お手紙が。
そこには、「今回より前に未請求の入院などがある場合は請求できる可能性があるので、コールセンターまでご連絡ください」との記載。
これって、「2年前に初めて問い合わせした時の(脳梗塞の疑いの)入院のことを言ってるんだな」とピンと来ました。
ですが、当時問い合わせした時の担当者は「認知症の場合は請求は不可」と言いましたからねぇ~
私、しっかり覚えていますよぉ。
それが、この度は「(認知症でも)請求できる可能性がある。(というより、実質、請求できる)」っておっしゃるんですから。
今回、私が推定相続人代表者になったから代理人請求できることは理解していますが、それでもなんだかねぇ・・・・
まぁとにもかくにも、前回の入院の分も給付金をもらえるというのですから手続きしようとは思いますが、この保険会社の対応、なんかすっきりしない・・・・
だってもし私が、最初の担当者の「認知症の場合は請求できない」という説明を真に受けて、今回の入院に関して問い合わせしていなければ、給付金がおりることはなかったんですから。
なんだかなぁ・・・・
保険会社って、こんな対応なの?
とりあえず今回の件で学んだこと、それは・・・
「勝手に思い込んで結論を出したり、諦めたりせず、念のためにもう一度確認すべし」
これ、何事にも大事かもしれませんぞ。