注目キーワード
  1. お一人様
  2. セミリタイア

母、入院。そして誕生日前に退院。がんばった母!

私の母は認知症で8年程前から施設に入所しています。

当初は認知症だけで体の方は元気だったのですが、2年ほど前から体調も衰えてきて、食もすっかり細くなり、嚥下機能も衰えてしまった為、2023年の夏に胃ろうをすることになりました。

当時の母の認知機能では、自分で胃ろうをするかどうか判断できる状態ではなかったので、家族(私と妹と伯母)で話し合い、胃ろうをすることを決めました。

胃ろうをすることを決めた時の記事「決断」はこちら

正直、「この判断は母にとって良かったのか、母が自分で判断できる状態だったら、どうしただろう?」と今でも思わないことはないのですが、少なくとも、胃ろうにしてからは、必要な栄養がきちんと取れていることから、体調も安定し、その意味では安心していたんです。

施設からの突然の電話

そんなある日の午前中、施設から電話があり「今朝母が嘔吐し、熱も少しある為、かかりつけ医の先生より血液検査をして、今その結果と指示を待っている状態だ」と連絡がありました。

認知証は進行してはいましたが、少なくとも体調はこのところずっと落ち着いていたので、突然の急変に私も慌てました。

心のどこかでは、「年齢的にももう何があってもおかしくないんだから」と思ってはいたものの、いざこうして何か事が起こると最悪のことも考えてしまい、「お別れはもう少し先にしてください」と神様にお願いしたり、頭の中で色んな思いがめぐります。

お昼頃にもう一度施設の看護師さんから連絡があり、「少量だがまた嘔吐があり、顔色も悪いし、本人も苦しそう。主治医は血液検査の結果を見てからと言っているが、念の為に、早めに入院を考えた方がよいのではないかと思い、お電話しました」とのこと。

私は「すぐに入院できる病院を探してください」と即答。

こういう時って、おそらく、家族は冷静な判断ができにくいと思うのですが、その時私が思ったのが、判断が遅れ事が重大になることだけはとにかく避けたいということでした。

早く入院して大したことでなければ、それに越したことはありませんから。

母の状態を早めに判断して、連絡してくれた施設の看護師さんに感謝です。

施設提携の病院へ入院

その後、施設からかかりつけ医にその旨連絡してもらい、2年前に胃ろうをした病院で受け入れ可能とのことだったので、そこに入院することになりました。

そして私も翌日、病院へ。

担当医の先生の説明によると、「(おそらく唾を飲み込む際に、気管の方に入ってしまい)誤嚥性肺炎を起こしていている。その唾を吐き出そうとして何度か嘔吐があったと思われる。肺炎の影響で微熱も出ている」ということでした。

治療は点滴(薬)、入院期間は1ヶ月程度。

これを聞いて、手術などが必要な病気でなく、治療は点滴で入院期間が1ヶ月程度ということは、とりあえず今は命に関わるような状態ではないと理解し、ちょっとだけ安心しました。

重大な状態ではないと知り、少し安心したものの・・・

が、そこから3日間は絶食状態で、ただでさえ体力が衰えている母は、もう本当に弱々しく、最初は私の声かけにも反応できないほどでした。

また、誤嚥性肺炎をネットで調べてみると、こちらの記事では、

  • 脳血管障害や、パーキンソン症候群、認知症の方に多く合併する
  • 診断された場合には一旦飲食を禁止して加療するため、体力や栄養状態の低下が著しく生じやすい
  • 再発を繰り返しやすく、それにより耐性菌が発生し抗菌薬治療に抵抗性がでたり、酸素・体力状態が悪化して多くの高齢者が死亡するという経過も生じやすい肺炎である

との説明がありました。

最初の2つの、認知症であること、当面は絶食したために体力が低下、ということで、母の状態と一致しています。

ショックだったのは、最後の説明。

再発をしやすく、当然再発を繰り返すと、抗菌薬治療がだんだん効かなくなり、死につながる場合もある、ということ。

はぁ・・・・・

確かに、3年前に胃ろうをした時も同じ担当医の先生だったのですが、その時に、「これまでにも軽微な誤嚥性肺炎を起こしていたと思われる」ということを言われたのを覚えています。

「もしかしたら、この3年の間にも、まわりも本人も気づかないうちに誤嚥性肺炎を起こしていたのかもしれないなぁ・・・・」と思うと、なんだか気持ちが落ち込みます。

面会に行く日々

次の日から面会に行く日々が始まりました。

母が入院している病院は、我が家から電車を乗り換えてドアツードアで約2時間半ほど。

電車で2時間半というと、都会だとものすごく距離があるように思えますが、実際に電車に乗っている時間は1時間強くらい。

ただ、車移動がメインの地方では、電車やバスなど公共の交通機関は不便なことが多いんです。

今回の場合も、

  • 自宅から最寄り駅まで自転車で約20分
  • 最寄り駅から病院のある駅までは、JRを1~2回乗り換え(電車の便によって乗り換えが2回になることもあり、待ち合わせ他で30~40分程度かかる)
  • 駅から病院まで徒歩25分

という具合で、とにかくアクセスがあまり良くないので、合計2時間半もかかるわけです。

なんですが、病院は、インフルエンザやコロナ感染予防の為、面会は10分程度との規定があるので、2時間半かけて行っても面会できるのは10分程度。

最初は律儀に守っていましたが、チェックされているわけでもなく、多少長くいても何も言われないことがわかると、30~40分くらいいるようになりましたけど(苦笑)

片道2時間半、往復5時間ですが、あまり苦には感じず、面会不可の日曜祝日以外、ほぼ毎日通いました。

というのも、(入院前の)施設での面会は、(こちらもコロナやインフルエンザの感染予防の為)、個室には入れず、1階の共有ホールでアクリル版越し、マスク必須で15分程度。

なので、母に直接触ったりなどは難しく、また、母は声もごくかすかな声しか出ないのでアクリル板越しでは何を言っているかもわからないんです。

一方、少なくとも病院での面会はマスクは必須ですが、直接手を握ったり、肩をさすったり、顔を近づけて母の声を聞いたりなどが可能です。

特に、絶食が解除されてから胃ろうで栄養剤を入れるようになってからは、少しずつ体力も戻ってきて、私のこともわかるようになって、こちらの声かけに反応し、母とのコミュニケーションも少しずつできるようになりました。

時間も30~40分ほど一緒にいられますしね。

病気で入院していることは喜ばしいことではありませんが、こんな風に母との濃い時間を一定期間過ごせるのは、私にとってはすごくうれしいことでしたね~

それもこれも、「またいつ何があるかわからない。とにかくその時になるべく後悔しないように、今できることをできるだけやっておこう」という気持ちから。

今回は1ヶ月程度の入院で済みそうですが、また再発してその後どうなるかなんて、誰にもわかりませんから。

次の血液検査の結果で・・・・

毎回そういう思いで面会を続け、「今日は顔色も良かったし、私の声かけにも何度も反応してて良かったなぁ」とか、「今日はあんまり反応なかったなぁ。まぁ、そういう時もあるし、仕方ないか」とか、毎回、母の様子によって私の気持ちも上がったり下がったり。

そして3週間ほど経ち、「入院1ヶ月程度ってことは、あと1週間とか10日とかで退院の目途がつくのかな・・・、つけばいいな」と思っていました。

というのも、入院から1ヶ月と数日後の11月1日は母の誕生日で、できれば誕生日は病院ではなく、施設でスタッフさんに囲まれて祝ってもらって迎えてほしいと思っていたので。

そんなある日、タイミングよく看護師さんが病室に来たので、退院について聞いてみたんです。

そうしたところ、「3日後に血液検査をすることになっているから、その結果次第で先生(担当医)から退院許可が出るかもしれませんよ。ただ、最終の判断は担当医からですから、ひとまずは血液検査の結果待ちですね」とのこと。

やった!

血液検査の結果次第だけど、点滴の薬ももうしてないし、たぶん退院できるのでは?

と心の中で小さくガッツポーズ!

その日の夜から、寝る前、朝起きた時、昼間も思い出しては、「どうか血液検査の結果、退院許可が出ますように!」と神様に祈ること3日間。

毎度、都合の良い時だけの神頼みです(苦笑)

そして3日後、血液検査の結果は?

そして3日後、10月24日金曜日、いつものように面会に行く準備をしていると、病院から電話が。

その日は血液検査の日です。

良い知らせか、はたまた良くない知らせか?

ドキドキしながら電話に出ると、担当の看護師さんから、「血液検査の結果、先生から退院許可が出ました。急で申し訳ないのですが、今日、先生からの説明を聞きに来られますか?」とのこと。

やったー!

退院!退院!退院!

行きます、行きます!もちろん行きます!

もともと面会に行く予定でしたから。

良かったぁ~

予定通り1ヶ月で退院できます!

誕生日は、施設でスタッフの皆さんに囲まれて迎えることができます!

母、がんばった!

繰り返す可能性もあり、不安は若干残るものの・・・

その日の午後、指定の時間に病院に行き、施設の看護師さんとケアマネの方と一緒に先生の説明を聞きました。

複数回行った血液検査の結果の経緯を見せていただきながら、時間を追うごとに良くなっていることを最初に聞き、「誤嚥性肺炎を起こしていたこと、さらに、尿路感染症もあったので、こちらは抗生物質で治療し、今回の血液検査の結果どちらも回復しているので、退院できますよ」とのことでした。

ただ、私から「誤嚥性肺炎は繰り返すと聞いたのですが・・・・」と質問すると、「確かに繰り返す可能性はありますから、予防として口腔ケアをしっかりやるようにしてください(通常は食事療法などもあるが、母の場合は胃ろうなので、食事療法は関係なし)」ということでした。

不安が解消されたわけではありませんが、先のことを心配しすぎても仕方なし。

施設でも看護師さんによる毎日の口腔ケアと、毎月の歯科医師による口腔ケアをやってもらっているので、引き続きしっかり対応してもらうしかありません。

誕生日のプレゼント、何がほしい?

施設の方と話し、退院は週開け10月27日月曜日に決まりました。

9月30日に入院して、10月27日に退院、入院期間は28日間。

1ヶ月より少しだけ早く退院できました。

そして、何よりも11月1日の誕生日前に退院できて本当に良かったです。

入院中に11月1日の誕生日のことは母と話していて、誕生日のプレゼントに何がほしいか?と聞いていたのですが、なにせ母は、ほとんど口から空気が漏れるような声とも言えない声しか出ないんですよ。

ただ、たまぁに、しっかり聞きとれる声が出ることがあるので、なんとかそのタイミングがないかと、何回もしつこくしつこく「誕生日のプレゼント、何がほしい?」と聞いていたんですが、母の口から聞くことはできませんでした。

で、私なりに何にしようか考えて、靴をプレゼントすることにしました。

実は母はもう自分で歩くことはおろか、手や足も自由に動かすことも難しいほどなので、靴を履くことはそれほどないのですが、部屋から出て共有ホールで過ごしたりするために車いすで移動する際は靴を履きます。

今履いている靴がかなりくたびれてきていること、たとえ車椅子での移動でも新しい靴を履けば少しは気持ちも上向くのではないかと思い、靴にしました。

靴と言っても靴屋さんで売っている普通の靴ではなく、介護シューズです。

早速それをネットでチェックしてみました。

色々探してみると、「あゆみ」という介護シューズ専門の靴が良さそうです。

その中でも、ダブルマジック3というこちらのシューズが人気NO1だそう。

出典:あゆみ公式通販サイト

介護シューズなので、履きやすく歩きやすいのはもちろんなのですが、いかにも介護シューズというデザインは避けたいと思っていた私、その点、このシューズ、デザインもなんだかほっこりしていてかわいいと思いません?

高齢の母にも、かわいい靴を履いて気分を上げてほしいですから。

ただ、ピンクはちょっとかわいすぎますが、他にも紫、グレー、茶、紺、黒があるようです。

母はブルー系が好きなので、紺にしようと思います。

楽天で検索してみると、同じものが少し安く販売されていて、★4.79(132件)と口コミも高評価です。

「よし!、これにしよう」と、紺色を注文しました。

残された母との時間

そして先日、商品が届きました。

ピンクもかわいかったですが、紺も落ち着いた感じでなかなか良いです。

そして、ネットで見たとおり、履きやすそう、歩きやすそう。

母の誕生日の11月1日に施設に面会の予約を入れたので、ラッピングして持っていくことにします。

喜んでくれるか?

はたまた、ピンと来ず反応薄か?(苦笑)

ま、いいんです、半分私の自己満足みたいなものですから(笑)

今度の11月1日で89歳になる母。

あと何回、こうやって誕生日を一緒に迎えられるか・・・・

そう思うと、一日、一日、瞬間、瞬間が大事にものに思えてきます。

私、よく思うことがあって、それは、母の認知症がゆっくりゆっくり進むことで、私達にお別れの準備をゆっくりさせてくれているような気がするんです。

認知症になったことは悲しいことだけど、それって母が「自分が逝った後も、悲しんでばかりいずに、自分の人生を楽しんで生きていけるように準備しておきなさい」というメッセージなんじゃないかな、ということ。

仮にもし母が認知症になっていなくて、今でも一人暮らしをなんとかできるほど元気でいたとしたら、きっと私は東京に住んだままで、今のような気持ちを母に抱いてはなかっただろうと思います。

そして、いざ母とお別れする事態になってから、「もっと〇〇しておけばよかった、なんでそうしなかったんだろう」とウジウジ後悔するような気がするんです。

認知症になったことで、母は私がそうならないための時間を与えてくれていると感じます。

私が勝手にそう思っているだけなんですけど、でもそう思うことで、母が準備してくれたその時間を大事に使って後悔のないように過ごしたいと思うんです。

残された時間があとどのくらいあるのかわかりませんが、できるだけのことをして、母との時間を大切に、そして楽しんですごしたいと思っています。